*写真はウィーンの有名なカフェ・ツェントラル。この人の列を見ると、観光客ばっちり復活!、と感じます。すごい人!!!*
ふと思いついたので書いています。
私もティーンエイジャーで良い先生に変わるまでは、めちゃめちゃな練習を数時間繰り返し、腕や手を痛め、年がら年中腕中に湿布を貼りまくって、10メートル先でもその匂いで私の存在がわかるような感じでした。
日本では、今でこそ「脱力流行り」でどの先生も「脱力」を売りにしたりするので、良い傾向ですが、昭和当時は「鳴らす」とか「ガンガン演奏する」とか「爪から血が噴き出る」なんてのがもう、カッコよくて、「やった!今日も燃えたわ!!!」みたいな満足感が当たり前とされていた風潮があった気がします。
それで、「痛くなって当たり前」「腱鞘炎は猛練習=真面目の象徴=誇り=自慢」的な感覚があった覚えがあります。
ところ変わって時代も変わり、それらは全てアウトとなります。
休憩を入れないような無理な練習を本番前にして、大切な当日に演奏できない場合は普通に「何やってんの、プロフェッショナルじゃないわね」と言われます。自分の身体をコントロールできない→キチンとした練習計画を立てられない→素人、という解釈になるのです。
これは風邪、食中毒みたいな病気の時にも言われます。
その昔は、「今だから言いますが、実はあの大きな本番の時は40度以上の熱があったのです。それを押して弾き切りました!」なんて武勇談として語られますが、現在では「本番にキチンとした身体のコンディションを整えることができないなんて、恥ずかしい。プロフェッショナルではありません」と多くの教授がいうのです。武勇談どころか、恥ずかしくて人に言えない。
だって、風邪だって食中毒だって気をつければ避けられます。本番前は誰でもかなり精神的に追い詰められているモノなので、体調が悪くなるのは「当たり前」なので、それを見越してアスリートのように自分をコントロールしなければいけないのです。
まあね、そうは言ってもガチの本気組の人達にとって、手の故障は今でもつきもののようです。
娘が現在所属するスペインの音大では、各人の意識は本当に高く、かなり練習するのでこれはもう、どこが痛い、かしこが痛い、なんてのは当たり前のお話だそうです。誰でも「ああ、やっちゃった。練習しすぎた」なんてのは日常で、自分をコントロールしながら長時間練習しているようです。そうやって積み重ねていくのでしょう。
人間の身体なんてそもそも楽器を弾くように作られたわけではないので、無理な姿勢と動きだということは認めざるをえません。特にヴァイオリンなんて(涙)
さて、話を戻します。
痛いのを繰り返す。これには絶対に原因があります。弾き方、練習の仕方の「どこか」が絶対に悪いのです。
全然違うタイプの教授に相談に行ってみる、音楽家を専門に扱う医師や整体の先生を訪ねる、などの行動を起こすことをお勧めします。なにもしないでぼーっとしていたら、絶対に改善しないと言っても過言ではないでしょう。
そして自分の弾き方を観察することが何よりも大切です。
自分の身体は自分にしかわからないことがあります。痛みのない時、練習中に、どうしたら痛みにつながるのか、スローモーションで観察することです。よく観察したら、絶対に何かが見つかると思います。
演奏を学ぶものにとって、手や腕の痛みは悲しいものです。諦めずに原因を追求して改善に努めましょう。