日本でのピアノやヴァイオリンお教室は「お月謝制度」というのをよく聞きます。年間でレッスン回数がうまい具合に決まっていて、日本の先生方から伺うと、なるほど、よくできてるなあと感心することもあります。受験生やプロに習う場合は、ワンレッスン制が多い、というのは私が日本にいた頃から変わりないようです。
さて、Twitterなどでよく目にするのが、「お月謝を値上げしたら、生徒さんがやめちゃった問題」
ここ、外国ははっきりしていて親御さんに伝えた場合、その答えは「OK」か「えー、困るわ」のどちらか。「じゃあやめるわ」という場合も、多分はっきりと先生に自分の意見を伝えると思います。
しかし日本ではちょっと難しそう、というのもわかる気がします。先生の方も値上げを伝えるのにとまどったり、親の方も、きついと思ってもOKしちゃったり、色々大変そうです。
私の場合、数年に1度くらいしか値上げしないのですが、コロナもあって、時間短縮をオファーしたことがありました。これだとこちらの負担も減るし、生徒側が、この機会にもっと長時間のレッスンを望めば、普通に値上がりとなる。時間短縮か、少しの値上げでより多くの時間にするか、選択技をオファーすると、なんの問題もありません。別に値上げをしようと思ったわけでもないのに、週に2回来るちびっ子が増えたのもこの時からです。
値上げをお伝えして「じゃ、やめます」というケースがあるので、怖くて値上げできない、とおっしゃる日本のピアノの先生がいらっしゃいました。私が思うにこのような親御さんや生徒さんの場合は、すでにそれまでの間、なんらかの理由があって、レッスンを続けたくないな、と思っているケースがほとんどだと思います。で、値上げのお知らせが来たら、「やった!渡りに船!」という感じなのでしょう。この場合はもう、去る者は追わず、主義でさようならが一番だと思います。
私は、生徒さんが離れることになんの抵抗もありません。
多くは、大学留学でのお別れなのですが、本当は悲しい。でも帰国したらレッスンに来てくれるという事と、ピアノよりも留学して立派な職について大人になってくれることの方が大切なので、全然大丈夫です。専門に行くため音大の教授につくことはもう、こちらからどうぞどうぞ、という感じです。私にとっては、何よりも本人の将来が大切です。
それでも「あ〜あ、」と思うのは、経済的に余裕のないご家庭で、中学生くらいになると、ピアノのレッスンではなく、英会話や家庭教師にお金を使うため、ピアノをやめてしまう子供。その子達が結構優秀であったりすると、本当に残念に思います。ヴァイオリン教師をしている私の友人は、はじめに経済的に無理そうだな、と思う子供は、一生懸命に教えてもいずれは経済的な理由で離れるので、積極的に門下にしない、とまで言っていました。確かに、趣味であっても真面目で上手になった子供が、経済的な理由でやめるのを見るのは悲しいです。
生徒が辞める話、に方向がずれてしまいましたが、レッスン料値上げで止める人は引き止める理由がない事と、時間短縮のオファーもすると良い、という提案です。
さて、Twitterでは昔「値上げをお伝えしたら、親御さんにキレられて怖かった」という極端なお話も聞いたことがありますが、まあ、そんなエキセントリックな人は多くないことを祈ります。
1時間レッスンを50分に、50分レッスンを40分に、40分レッスンを30分に等々、「子供があまり熱心に練習しないな。やめさせちゃおうかな」と悩んでいる親御さんも、それだったらまだ続けてみようかしら、と思うケースもありそうです。時間短縮は結構良いアイディアなので試してみることをお勧めします。