ピアノのレッスン、親御さんが本当に望んでいることはなんでしょう?の件

ピアノとヴァイオリン

いろいろな親御さんがいるのですが、それはズバリ、
「子供がピアノを楽しそうに弾いていて、幸せなこと」
だと思います。コンクールで勝たせたいだの、他の子より少しでも曲が進んでいたいとか、そう言う考えもありますが、根本はやっぱりこれでしょう。

こんな事をどうして今更書くのか、というと、最近うちの門下に入ってくれた4歳のボクのお母さんを見て「おおお〜、そうなんだー」と感じることがあったからです。

その子は、なんて表現したら良いのだろう、ずば抜けて数学などの能力が高いのですが(大人が遊ぶような面倒くさい数学のアプリを平気でやってる。私には無理そうなやつ)興味の湧かないことには、一切反応せずに、集中しない、という事が、普通の子供よりも数倍強い子です。(念のため書きますが、日本人ではありません)学習能力は高く、良い所の付属幼稚部に通っています。

私には初心者の子供を教える場合、幾つかのメソッドのパターンがあって、子供によってやり方を変えるのですが、大抵の子供は簡単な方法でハマってくれて、そうすると集中してくれるので結構楽なのです。

それが、彼の場合はツボってくれる箇所が少なすぎるのです。普通の子供ならば3つも提案するとハマって集中してくれるところ、彼は7つくらい試さないとだめ。とにかく集中力がないのですが、ひとつハマると集中してずっとやる、というパターンです。

私としては、この分だと曲が進むのにも相当時間がかかるし、お母さんはお金を払ってるのに目に見えた効果がなくて、嫌なんじゃないかしら、と感じていました。

お母さんは毎回、息子のレッスンを心配しながら見守っています。私が「この子にはピアノは無理です」と言うのを恐れているオーラが、かなり出ています。

その子、ピアノや私のことは好きでいてくれるようで、進歩はイマイチですが、楽しそうに歌ったり弾いたりします。

前回、レッスンが終わった後、ふとお母さんが、

「どんなに他の子供よりも進歩が遅くても、笑って、楽しそうにやっている姿を見ることが何よりも嬉しいのよ。レッスンしてくれて本当にありがとう」

と言ったのです。「私は進歩が遅いからつまらないかなー」と思っていたのですが、意外な言葉にちょっと感動してしまいました。

子供の幸せそうな顔が親の喜び。
こんな単純なことを忘れていたような気がして、なんか嬉しい気持ちになりました。
これからもヒズペース、コツコツで楽しんでレッスンしていこうと思いました。
とても良いお母さんで、彼は幸せです。