ピアノをずっと習っていて、うちの子とっても上手なんですけどね、楽譜が読めないんです。教えてやっていただけますか?

ピアノとヴァイオリン

以前、昔の生徒さんの親御さんの紹介で、私に電話をしてきたお母さんのセリフです。

「お〜〜〜〜〜、きたか」と思いました。こちらで教えている教師の、聞かなければいけない親御さんからの言葉アルアルのナンバーワンにも上がる「うちの子、ピアノが上手に弾けるんです!」

その「ピアノをずっと習っていて、とっても上手」な息子さんは大学生(もちろん音大生ではありません)で、親御さん曰く、「怠けもので、楽譜よ読もうとしないのよ」だそうですが、これも趣味のティーンのアルアルです。今はYouTubeでなんとなくピアノ(キーボード?)の習い方、みたいなものもやってるし、適当にちょろっと真似して、難しそうなところは適当にじゃんじゃんやって、ハイ弾けた!おしまい!なんてありそうな話です。

わかりますよ、だって、めんどくさいものね(笑)真面目に譜面を追っかけるのって。
「お母さん、息子さんは怠け者じゃないですよ。私も仕事でなければ、好きでもない曲の楽譜を読もうと思いませんから」とお答えしたら、笑っていらしたけれど。

楽譜を読む=譜読みができるようになるには、はっきり言って本人の努力、すなわち反復回数が必要になってきます。

語学と同じで、真似っこして喋っていて、話せるようになる人もいますが、ちょっと間違うと、ブロークンな言語を話す、なんかこう、教養のない話し方になったりしてしまう場合もあります。きちんと机の上で文法のお勉強をして、正しい綴りを習えば、多少不自然であっても、人から尊敬される外国語を話せるようになります。

ピアノも同じ。「趣味だから良いや〜」なんて適当にやってると、誠意に欠ける、良い加減なお遊びピアノになってしまいます。
そしてそれは、素人が聴いたら「まあ素敵!お上手!」なんて褒めてくれるのでしょうが、専門家が聴いたら苦笑されることになるのです。

だから私が「趣味だから良いの」という生徒さんに言うのは、「趣味でも、きちんと誠意のある、真面目な演奏ができるようになりましょう」です。だからその為には正しい読譜法と、ある程度のソルフェージュが必要になってきます。

楽譜の仕組みを正しく簡単に教え、楽しいと思ってくれたらこっちのものです。
人間、楽しいと思ったものは実行するし、覚えも早いのです。何度も書いていますが、楽しいと思えばぐんぐん伸びる、ってやつです。

結果、その「ピアノをずっと習っていて、とっても上手」なご子息は、私の元でもっと上手になってくれたのでした、ちゃんちゃん。