楽器を習うにあたって「歌える」ことはとても大切であることと「音痴の治し方」について

ピアノとヴァイオリン

意外と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ピアノでもヴァイオリンでもチェロでもなんでも、上達しようと思ったら「歌える」ということは必須条件になってきます。
なにもオペラ歌手みたいに歌えなくても良いのです。ある程度正しい音程で、フレーズを再現出来ることができればそれでOKです。

こちらで優秀なソリストや教授のマスタークラスを受けてみると、「ちょっとそこのフレーズ、歌ってみてちょうだい!」と言われることが多くあります。

ムスメが小さい頃、大好きで憧れの五嶋みどりさんがウィーンにいらしていて、レッスンをしてくださった事があったのですが(もう、震えるほど素晴らしいレッスンで、お人柄もお優しく、感激したことを昨日のように思い出します。15年以上前の話!)先生も、「そこの所、歌ってみて」とおっしゃいました。

きちんと歌えれば、全体の流れはどうか、変なところにアクセントがついていないか、自分が不自然な表現をしていないか、などが手にとったようにわかります。

さて、多くの人は特に頑張らなくても、「タララリラ〜」みたいなフレーズは口ずさめるものです。しかし、それができない人もいます。それが「音痴」です。音痴は何かというと、正しい音程で歌って再現出来ない、ということです。この単語は非常にキツく響きますが、わかりやすいので以下、使用させてください。

ここからが本題です。

初めてのピアノのレッスンで、私はさりげなく「音痴」かどうかを確認します。「何があっても絶対に人前で歌わない!」というすごい意志の人は今まで、大人で一人しかいませんでしたので、これはすぐにわかります。

私の方法です。ご参考になるかどうかわかりませんが。

まずは「あー」と歌ってもらい、私はその音程をピアノ上で探します。

例えばそれが「ド」であったら、ピアノで「ド」の音を弾いて、ピアノの音を鳴らしながら「ド〜♪」と歌ってもらうのです。

たまに、歌声ではなく、「声を出してる」だけの状態の人もいますが、見本を見せていっしょにやる。繰り返しやる、これで少しでも良くなくなったらバカ褒めする、を繰り返すのです。

そしてそれができたら音域を上に2度、下に2度などのように増やしていくのです。そうしたらかなりいけます。今週はひとつだけ音を増やす、再現する、を繰り返し長期計画で1オクターブ達成できれば、音痴は完治です(韻踏んでる!)

そして大切なのは親の協力です。こちらの人ではほとんどいませんが、日本人は自分や身内を落として丁寧、という文化があるせいかどうかわからないのですが、「うちの子音痴で」って、これは絶対に言ってはいけません。どんな音痴でひどくても言ってはいけない言葉です。

これで生涯歌わなくなった人って、世界に山ほどいます。自分の子供を人前で「音痴」と言ってはいけません。上記の、私の大人の生徒さんで絶対に人前で歌わないと譲らなかった生徒さんは、子供の頃学校の先生に「音痴」と言われた事がトラウマになったそうですので要注意。

長くなりましたが、根気良く続ければ音痴は治ります。ポイントは欲を出して一気にやったり、すぐにやめちゃうこと。これは長期計画で毎回のレッスンで指導しなければいけません。

人は誰でも歌うことが好きだと思います。
別に音大の受験で楽典やソルフェの為だけでなくても、「音痴」は治して楽しく歌えれば人生の楽しみが増えます。カラオケに行ったって、堂々と歌えて楽しい!

そんなお手伝いがピアノのレッスンとともに出来れば一石二鳥!といつも思っています。