日本の「ピアノ教室」とウィーンにおける「ピアノ教室」の大きな違いについて、私の感じること

ピアノとヴァイオリン

日本でピアノ教室を運営していたり、音楽大学で教えている知人・友人の話を聞くたびに、日本とウィーン、ざっくり言えば欧州の「ピアノ教室」というものは、まったく違うものだと痛感します。今でこそ「X」となりましたが、旧Twitterでも生徒さんや親御さんへの愚痴満載の先生を見ていると、「えー、日本ってそうなんだ!」と驚きを隠せません。違いますよ、本当に。

もう、何回も書いているのですが、ここウィーンを例に挙げると「音楽の都」とは言われますが、誰も彼もが小さい頃からピアノやヴァイオリンを習うわけではありません。

一方、日本は、ピアノ教室やヴァイオリン教室(個人を含む)がたくさんあって、私の住んでいた東京の某区にも、ひとつの通りに3件以上のピアノ教室がありました。

ウィーンでは、個人経営のピアノ教室やヴァイオリン教室の看板なんて、見たことがありません。もちろん市が運営しているような音楽学校はありますが、日本に比べれば少数です。大手ではなくても、企業単位での音楽教室も、作ろうとしている人達もやや、ありますが、決して生徒は集まっていないようです。よって、悲しいくらいお金に直結しない。

そして、日本の音楽大学の「副科ピアノ」のレヴェルが高いおかげだと思いますが、音大でピアノ科を卒業した人以外の方も「ピアノ」を専門に教えていらっしゃる。

こちら、例えばウィーンでは、音大入試に副科ピアノの試験なんてないので、入学時点でピアノを全く弾けない人も存在します。ヴァイオリン専門の私の娘が、人様にピアノを教える、なんて、私が人様にチェロを教えるようなもので、私には想像できません。(私はチェロに触ったこともありません)極端な例だけれど。。。。

日本では、Amazonで検索してみて驚いたのですが、なんとまあ「ピアノ教室運営の助言」みたいな本が、それはもう、ゴマンとヒットします。それだけ需要があるということで、これはもう、本当に驚きます。

「発表会」の存在も、日本であれば「会場代」、必要であれば「ピアノの先生の御足代」など支払うのが当然だと思いますが、こっちでそれをやったら、二の足を踏むお親御さんも出てくる気がします。

大昔になりますが「ウィーンでピアノ教室を開くのが夢」という知人がいましたが、こちらの音楽大学を卒業して、滞在許可もあり、語学にも問題がない人でも、それで生計を立てるのはまず不可能。現地人をターゲットにする「ピアノ教室」は、かなりハードルが高いことを理解してもらうまで、かなりの時間を要しました。外国と日本では違う、と言うことを受け入れられない人は多いようです。

本気組であれば、初めからその筋の教授を選ぶだろうし、趣味であっても「ピアノ」を選ぶ家庭はそんなにゴロゴロいないのが現実です。だって、ピアノを買うのにお金もかかるし、だいたい、うちで勉強以外に何かを練習する時間を取られる、ということを、普通の親御さんはあまり喜びません。それだったら、テニスやカラテのようなものが人気です。

話はかなりずれますが、ウィーンで起業したいのならば「絶対的に日本的」なものがおすすめだそうです。日本料理の調理師さんやそれこそ流行りのカラテとかそういう子供向けの武道などなど。

「音楽の都」のイメージとは随分と違う現実ですが、これはこちらの人が「音楽」も「職業」としてとらえているからかもしれません。

給料が上がらない、とか経済不況とか言われますが、「ピアノやヴァイオリン」を趣味として楽しみ、定期的に出費もできる日本は、やはり豊かな国な気がして羨ましいです。