以前、某国のコンクールで一緒になった韓国人女子はとても上手な人でしたが、かなりのコンクールの数をこなした人でもありました。で、結局出来レースで上手くもない、子供が大人を差し置いて入賞したのですが、その時の話。
「絶対ないと思ったわ。あの子の本番の演奏も酷かったけれど、ホテルの廊下で彼女の練習を聴いて、ライバルでもなんでもないと思ったのに、入賞するなんて酷いことよね!!!」
私は彼女の話を首を縦に振りっぱなしで聴いていたのですが、彼女はコンクールに行くと、ホテルの参加者の練習を廊下で聞いて、「あ、これは敵じゃないわ」みたいに判断して安心するそうです(それもすごいね)
彼女のいう通り、どうやってさらっているかを聴けば、まあ、どのくらい弾けるかは想像できます。
もちろんレベルによりますが、かなり下の方のレベルだったら、「はじめからでなければ弾けない」とか
「同じところでつっかえる」がその代表ですが、コンクールに出る様なレベルになると、残念な練習の代表は、彼女曰く、「はじめっから終わりまでテンポでぶっ通しで弾くだけ」だそうで、これは本当です。
あとつけ加えると「2次のヴィルトゥオーゾや本選のコンチェルトばっかりさらってる」のも(出来レース以外では)大抵ダメだそうです。
それは良いとして。。。。
私のスタジオの上のアパートのオーナーは、噂によると音大でギターを専攻した人だそうです。
彼はほとんど住んでおらず、ギターの音なんて聞いたことはなかったのですが、昨日、私が練習をしていると、合間に何か聞こえるではないですか?
「あれ?なんだろう、この音。電子ピアノかしら?どこから聞こえる?上の人、ギターって言ってたから、アコースティックギターのそんなちっちゃい音、ここに聞こえそうもないんだけれどなあ、」
と思った途端、ピンときました!
「げ〜、これエレキギターじゃないの!!!」
聞き慣れない音なのですぐにはわからなかったのですが、それです、それ!エレキギター!!!
「いやあ、これ爆音で弾かれたらまいるわ」と耳を傾けたのですが、爆音ではありません。私のピアノの方がずっとうるさいかも。しかしその練習の仕方が、「プロフェッショナル」なのです。
できないフレーズをゆっくり、そして確実にさらっていきます。テンポも揺れない。なので、その電子の音量もさほど気にならないのです。なんか面白みのないフレーズの連鎖だったので、きっとバンドの一部なのだと思います。
プロフェッショナルな、誠意のある練習は聞いていて耐えられます。もちろんうちの娘みたいにそれを何万回も繰り返されるのを聴かされると気が狂いますが、モノの1時間くらいなら平気。
気にせず私も集中して練習できました。
ああ、どの楽器でも同じなんだなあと彼のエレキギターで納得したのでした。
きちんとした練習は本人にも他人にも長所があるのもなのです。