ピアノのレッスン「先生、うちでは間違えないで弾けたんです!信じて!!!」

ピアノとヴァイオリン

この言葉、特に熱心な大人の生徒さんから本当によく聞く言葉です。
「ちゃんと練習したのよ!信じて!嘘じゃないの〜〜〜!!!」
よく分かります。私も子供の時に同じことを思ったものです。「うちでは弾けたの!どうして先生のところでは間違えちゃうのかしら!やっぱし緊張よね!!!」なんて自分で納得したりして。

すごいところになると「あなたのところのピアノ、調律してないんじゃないかしら?なんか、この『ラ』の音がうちと違う気がするのよ。」と言った生徒さんがいました。日本人の口からは、口が裂けても出ない言葉ですよね。これには流石に度びっくりしました。

さて、話を戻します。出来ない理由は簡単です。確かに「緊張」もあるでしょう。「カッコよく弾いてやるぞ」という欲もあるかも。でも、原因は大抵。。。。単純に、

「本当は、『弾けてない』んです」

おうちで、このフレーズが弾けたのに、違う場所や違うピアノでは弾けない。これ、本当に答えは簡単で、弾けてないだけなんです。おうちでは偶然、もしくはリラックスしているので、なんかの弾みで弾けちゃってるだけ、そしてこの事実を、誰も認めたくないのです。だから改善しない。それではどうしたらこれを改善できるのでしょうか?
答えは簡単です。この事実を認めるのです。「自分はここが弾けていないんだ」と。

フレーズをゆっくり、左右別に、真剣に観察します。早く弾いたり、ゆっくり弾いたり、18個音が並ぶフレーズなら、2個だけ弾く、3個弾く、4個弾く、早く、ゆっくり、と自分の指を観察するのです。真面目に観察すると、弾けない場所と原因がわかります。それは指を潜らせる時だったり、いろいろあります。そして改善すべき工夫をします。手首の角度を変えてみる、指の腹の違う部分で試してみる、いろいろやって見るのです。手首から下だけで弾いていたり、腕がガチンガチンだったりする場合もあるかもしれません。

しかし、生徒側はこれらの仕事を、はじめから自分一人でやることは不可能です。よって、教師が手取り足取りで、一緒に原因を見つけて、生徒にどうやって原因を見つけるのかを共に体験させて、出来るまでやらせるのです。そこで改善できたら、生徒側は「おおおお〜〜〜〜!できたじゃないの!やっぱり私、弾けてなかったのね!原因を見つけて、こうやって改善すれば、弾けるようになるんだ!!!!!」と体験して、嬉しくなって、今度は自分で自分の弾けないところを見つけ出し、それを治す努力をするようになるわけです。

正しい練習をして、本当に弾けていれば、どんなに緊張しようと、そんなに変なことにはならないものです。
出来ない時は弾けていないとき、が99%なので、やっぱり練習ですね。

話は変わりますが、どんなプロの演奏家でも、「こんなところ、生まれてから一回も間違えたことがない」のに、大切なコンサートや試験で『やってしまった!』ということが起きます。これは上の話と全く違う、舞台でのお話になるので、別の機会に書きたいと思います。