ウィーンの音楽大学で学ぶ事の利点とは?思いつく点を5つほど挙げてみました

音楽留学のために

これもよく質問をいただく内容ですが、具体的に「オーストリア音楽留学をするとどんな良いことがあるのでしょう?」

さて、思いつくことから書き上げてみましょう。
尚、私は30年以上前に日本の音大で学びました。現在の日本の音楽大学の事情について全く知らないので(浦島太郎ですから)当時の音大と比べて、こうかな?と思っていると取って頂いてくださると良いと思います。どっちが良いと意見している訳ではないので、よろしく。(いちいちこんなことを書くのも馬鹿くさいですね。別に揚げ足をとる人もいないと思いますが)

その1、オーストリアは日本の音楽大学に比べると学費が安い!
実際にどれくらい差があるでしょう。以下、いくつかの音楽大学の料金をチェックしてみました。

東京藝術大学

桐朋音楽大学

武蔵野音楽大学

東京音楽大学

自分で調べてびっくりしました。うちの母、よく出してくれたと思います。でも私の時代、留学はある特定の裕福な家庭のお子さん達がのもの、というイメージがありました。(行きたかったなあ。当時のソ連。)

さて、先日も書きましたが、ウィーン国立音楽大学をはじめとするオーストリアの大学の学費は、というと、バチェラー(大学本科)1ゼメスタ(半年)日本人でもざっくり、10万円かかりません。(今は円が下がっていますが)オーストリア国籍の人は半年約2千円ちょっとです。

15歳以下の音大付属の『才能クラス』16歳から19歳までの『予備科』の留学についてはこちら→子供留学

その2、オーストリアはコストをかけずに人前で演奏する機会が多い!
私が日本の音楽大学に在学していた時の学内試験の長さはかなり短かったと記憶しています。今は変わったのでしょうか?卒業試験も3曲くらい弾いておしまいでした。

日本では普通、門下の発表会には会場費、参加費、先生へのお礼(ヴァイオリンなどの場合伴奏者へのお礼+お足代)などなどで、無料、というわけにはいかないと思います。国内コンクールで入賞している『活躍している』学生さんならそれなりにあるのでしょうが、一般のフツーの音大生には夢のはなしでした。多くて年に2回くらいでした。

一方、ウィーン国立音楽大学では教授にもよりますが、平均して2ヶ月に1度は「門下のクラスコンサート」があります。コロナ禍では、ステージトレーニングと呼ばれていました。今日の写真は娘のクラスコンサートのもの。在学中に相当数を、舞台の上で弾きます。実際、娘の所属しているウィーン国立音大の教授のクラスでは、毎週クラスコンサートがあります。

オーストリアの音楽大学のクラスコンサートについてはこちらをご覧ください。
時間の制限もそんなになく、教授のOKが出ればコンチェルトやソナタを全楽章弾かせてもらえます。

教授の熱心度にもよりますが、コンクールをひかえた学生には第1次、第2次、ファイナルすべてを演奏させてくれる機会をもらえます。

数年前の娘の演奏回数をチェックしたことがあるのですが、ほとんど毎週人前で弾いていた時期もありました。コンサートで弾く、という事は演奏家になるには絶対に必要なプロセスなのです。もちろん、人前で演奏するのに学生が自分でお金を払うようなシーンはありません。音大と関係のないホールを貸し切って録音する場合などは別ですが、学内のホールではれば、学生は無料で借りることができます。(外部の人間に又貸しすることは絶対にアウトです)

その3、本場で学ぶということの実体験
日本にも素晴らしい先生はたくさんいらっしゃいます。しかしこちらは「ヨーロッパ大陸地続き」ということもあり、さらに多くの世界的巨匠と知り合う可能性があります。作曲家が生まれ育った環境で、その場でしか学べないこともあります。(なんか、どっかの宣伝みたいになってきましたが、私は留学斡旋業をしているわけではないので、ご注意を。w)

その作曲家の話した言葉を話し、食べたものを食する。練習だけではゲットできない何かを掴むことが出来ます。もちろん雰囲気だけ味わってもダメで、適した教授の元で学び、かなり練習しなければ絶対に上手くならないのですが、モチベーションがかなり上がると思います。そして本人が努力すれば進歩は目に見えてきます。

その4、卒業後、ひょっとしたら欧州で仕事をゲットできるかも????????
これは、たくさんの?マークで書いておきます。なぜなら、オーストリアはドイツなどと違って、まだまだ外国人に、音楽市場を喜んでオープンにしないからです。オーケストラもプローべには招待してくれますが、最後までは行かない。というか、取らないつもりで招待しているのかな?と僻みたくなるような場面にも出逢います。悲しいですが。

なので、いい加減なことは書きませんが、弦楽器や管楽器専攻の場合、こちらに留学してヨーロッパのオケにチャレンジする場合は、日本からいきなりきて試験を受けるよりも、敷居が低くなります。ピアノの場合、ドイツ語を頑張って「教育科」に入ればウィーンの街の音楽学校の先生にもなれます。(空きがあれば、ですが)その他、室内楽の活躍場面は多いので、この方面で活躍する人もいます。

その5、留学したというブランドがあると帰国した時にハクがつく。
こういう書き方をするとミーハーっぽくて申し訳ないのですが、日本ではまだまだこれが通用するそうです。こちらで学んだ事を後世に伝えて、見栄えも良いなら言うことはありません。堂々と自慢しましょう!

さて、次回は留学を希望した時、まず、何から始めたら良いかをまとめています。
あなたをクラスに受け入れてくれる教授を探しましょう。

興味のある方は、外国で学ぶのも良いかもしれません。