ウィーンの住宅探し:留学・移住者が知っておくべき差別と法的対策とまたしても詐欺のお話

ピアノとヴァイオリン
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今日はAK(オーストリア労働者商工会議所)のウェブサイトから、住宅探しに伴う「差別」というものを見つけたので、これを簡単にご紹介します。

多くの所で「差別」について話されていますが、ウィーンの住宅市場にも、現行法による差別の問題が依然として残っています。オーストリアの平等待遇法は、性別や民族的出自に基づく差別を禁止しています。といってもその範囲は限定的であり、他の要因に基づく差別が未だに合法とされているケースが多いのです。

例えば、宗教や性的指向、年齢、社会的地位などに基づく差別は、住宅探しにおいて合法とされています。特定の宗教を持つ人や、同性愛者は嫌、などです。もっというと「外人は嫌」みたいな感じです。

しかしみなさん、自分が貸す立場だと思って想像してみてください。
多くの心配があると思います。ちゃんと家賃を払ってくれるかしら、貸した部屋で爆弾とか作られたらどうしよう、言葉が全く通じなかったらどうしよう、変な人だったらどうしよう、etcetc…
そりゃあ心配です。当たり前の話です。大事な財産を貸すわけですから・・・・

だからお互いの希望が一致して、双方ハッピーな契約が結ばれるまでには多くの困難が出てきます。

、とここまで書いた所で新しい不動産詐欺の情報が入ったのでシェアしておきます。

ある男性がネットでアパートを探していて(Immoscout24を利用)その際、高度な詐欺師に騙され、個人情報を使われ、€ 30,000のローンが彼の名義で取得されてしまった、という事件があったそうです。
彼は賃貸物件を探している最中、雇用証明書や給与明細を提出するように求められ、それを素直にわたし、情報が悪用され、ローン詐欺に巻き込まれたということです。
すぐに警察に通報、プラットフォームにも連絡しましたが、警察や銀行からの対応はほとんどなく、結局彼が負債を負う可能性が高くなっているそうです。

恐ろしくありませんか?写真を見ると男性は普通に現地の人。どうして騙されるんだと思いますが、切羽詰まった状況だったり、写真が素敵な物件だったりすると周りが見えなくなるのかもしれません。

ピアノを置こうが、ヴァイオリンを弾こうがに関係なく、今、ウィーンでアパートを見つけるのはとても大変です。息子は昨年引っ越しましたが、彼の希望したアパートに集まった応募は80件を軽く超えたそうです。

で、家主曰く、希望はオーストリア人、家賃の3倍の手取りの収入があること、出来れば1人で子供なし、清潔で感じの良い人柄、で息子が残ったそうですが、考えてみれば貸し手の多くは同じ希望を持っていると思います。

一方現実は大人2人(夫婦だったり、インカムが少ないので2人でシェアする)かプラス子供1人、収入は家賃の2倍もない、外人、がとても多いのです。予定もないですが、もし息子が誰かと住んだり、子供ができたら契約延長は出来ないこと確実です。

友人がアパートを貸そうとネットに出した所、やはり100件近くの応募があったそうですが、焦るばかりに頼んでもいないのに給料明細からパスポートのコピーなどを添付してきた人がいたそうです(しかも日本人)あまりにも無謀だと言っていましたが、本当です。だって、ネットを通しても家主がどんな「人」か「組織」かまだわからないのですから、本当に命知らずです。

差別から詐欺の話にまた戻ってしまいましたが、以下まとめます。

悪いことはいないから、出来るだけ知っている人からか借りるか、きちんとした不動産に依頼するべきです。留学するなら、本当に合格したらすぐに寮をブックしましょう。受かる前でも悪くないです。
調べてみれば日本人や音大生にフレンドリーな大家も存在します。留学生や移住者が集まるエリアもありますので、来る前から住宅探しをしましょう。

で、差別に戻りますが、オーストリアには平等待遇局という機関があり、住宅探しの際に差別を受けたと感じた場合は、そこに相談することが可能です。平等待遇委員会に差別の証拠を提出することで、法的な手続きを進めることもできます。

ウィーンは文化的に豊かな都市であり、多くの留学生や移住者にとって理想的な環境を提供しています。安心して新生活をスタートさせるためには、こうした住宅市場における法的な現状を理解し、適切な準備をしておくことが大切です。もし住宅探しの際に問題が発生した場合は、専門機関に相談し、適切なサポートを受けましょう。ウィーンでの生活は、最初のハードルである住まい探しを乗り越えた先に、多くの魅力が広がっています。現地の文化を体験しながら、楽しく充実した時間を過ごせることを願います。