これはもう、本当にお願いしたいことです。
もう昔の話になりますが、うちに習いたいと言ってやってきた子は、家にキーボードを持っていました。親御さんが、お嬢ちゃんにピアノを習わせようと思い、まず先生を探す前に中古のキーボードを買ってしまったのです。親御さんは音楽をまったく知らない人たちです。
うちに来ると、まずは本物の(というのも変だけど)アップライトを用意することを勧められるので、結局はそのキーボードを売ったのですが、購入時よりかなり安くしか売ることができなかったそうで、損をしてしまったわけです。
しかも、その変なキーボード(かなり質の悪いものだったのですが)なんと、600ユーロで購入したそうで、めまいがしました。本当に知らない人をだます(と言っては悪いけれど)のは簡単です。
6歳の子供にヴァイオリンを習わせようと思って、市場でフルサイズの変なヴァイオリンでないような代物を買ってしまった親御さんもいました。本当に、自分の知らない世界に関わる時は、まず、きちんとわかる人に聞いてから行動を起こさないと、とんでもない損をしてしまうことがありますので、要注意です。
ある親御さんは、「本物のピアノ」とは「グランドピアノ」のことであって、それ以外は違うと思っていたそうです。
だから、「ああ、うちには場所がないわ」と思ってはじめからピアノ購入は無理ねと考えていたそうです。アップライトの存在を教えると、「なんだ、これなら居間に置けるじゃないの!」と思って即、購入したという冗談みたいな話もあるのです。
ピアノを買いに行って、急に不安になって「私が買おうとしているのは、本物のピアノかしら?」と電話をしてきた親御さんもいます。はじめは「コンセントがついてなければアコースティックよ」なんて思っていたのですが、いえいえ、今の時代「サイレントシステム」付きのピアノもあるので、コンセントでは判断できません。
私は関わった生徒さんの親御さんに、「一緒に買いに行きますから!絶対に勝手に買ったりしないでください」といつもお伝えしています。その為の時間は喜んで作ります。
百歩譲って、どうしてもキーボードしか購入出来ないの大人の生徒さんの場合も同様です。
キーボードと言っても、絶対アウトなものは山ほどあります。購入しようと思ったら、先生が音楽のわかる人に同行してもらったり、アドヴァイスしてもらうことを本当におすすめします。ちなみに私のおすすめのキーボードは唯一、こちらです。
ついでに書きます。
ヴァイオリンの話です。
大昔の話ですが、あるマスタークラスを聴講していた時、その教授が私に、ある学生のヴァイオリンについて聞きたいので通訳してほしいと言われてやったことがあります。
その学生の楽器ですが、親御さんは誇らしく、「クレモナの新作でお買い得だったんです。500万円!オホホ」とおっしゃっていたのですが、教授曰く、
「ありえない!こんな楽器、5000ユーロでも高い!」と酷評。
本当に私はこれを通訳しなければいけないのかと気が遠くなったのですが、ヴァイオリンなんて時に、ピアノ以上に絶対に楽器のわかる人を通じて(まあ、それが問題な場合もあるんだけど)購入することをお勧めします。数100万円をポンと出せるご家庭ならまあいいですが、数十年のローンで変なものを買った、なんて、本当に笑えません。。。。。