みなさん、学生時代にコンチェルトを全楽章、人前で演奏したことがありますか?ソナタでもいいや、全楽章です。
ヴァイオリンなどの弦楽器の人は、普通にあると思いますが(それでも日本だと全楽章をというのはちょっと難しいかも)ピアノとなると、私の時代はよっぽど教授に恵まれない限り、あまり機会がなかったように記憶しています。
ロマン派以降のピアノコンチェルトを全楽章、疲れないで弾き終えることができる人はどのくらいいるでしょうか?これこそ、技術もありますが、基本体力勝負となります。
何を言いたいかと言いますと、今日のテーマは本番に向けての体力つくりです。
娘が生まれて初めて、オーケストラを背中にメンデルスゾーンのコンチェルトのゲネプロを終えた時、彼女の言ったことが、「こんなに疲れるとは思わなかった!!!」でした。
その大きな原因は緊張で、緊張をすると身体が固くなるだけでなく、非常に体力を消耗するのです。その時からです。大切な本番がある時には、何よりも体力が大切だ、と実感したのは。
これには日頃のトレーニングが必要です。
なにもジムに行って、走りまくって、重い器具を持ち上げろ〜というのではありません。今ではそれをやる人も多いですが、筋トレは演奏家にとってのマストではありません。まずは意識することからです。
自分が数曲参加するようなコンサートくらいなら、えいやっという勢いで何とか持ちますが、ソロリサイタル、ましてや幾つかのラウンドがあるコンクールとなると、きちんと計算しなければいけません。コンクールになると、練習時間の配分もかなり計算してやる人がほとんどです。行き当たりばったり、その場限りだと大抵は失敗に終わったりします。
まずは食事。いつも同じような時間に食べて、暴飲暴食をしない。
大切なその本番の数ヶ月前から、きちんと計画を立てます。
そして決まった時間に起きて、同じような時間に寝る。本番に近い時間帯に一番パワーが出せるように、時間を調節することも大切です。本番が(試験とかね)朝の9時だったら、9時にはフル回転できるように、毎日6時には起きて9時に調子を合わせる、みたいな感じです。本番が夜の9時であれば、午前中はゆっくり目に起きて、夜にパワーが出せるようにします。
練習時間も偏らせない。腕や手に負担になるようなことは、絶対に避けることは最も大切かもしれません。
よく「今だからいうけれど、あの時は40度の熱を押しての演奏でした」なんて日本では武勇団的に語られますが、こちらでは「本番に熱を出すなんて、自己管理がなっていない。プロフェッショナルじゃない」とバッサリやられます。誰も「さすが!」と思ってくれません。
これらのことを考えると、演奏家はアスリートと全く同じです。
メンタル面はさらに大切になってきます。こちらについてはまた書きますが、瞑想はかなりおすすめです。本番に備えて練習の次に大切なのは、体力のプログラム作りです。日頃から気をつけて生活したいものです。