ヴァイオリンやピアノで音楽留学するのには、いったいどのぐらいのレベルが必要なのでしょうか?
ウィーン国立音楽大学のヴァイオリン、演奏科（Konzertfach）を例に挙げ、私の考えで書いてみます。
この質問は、生活費などの質問の次に、とてもたくさん受けます。これはあくまでも私の考えと感想なので、違う意見もあると思いますが、ご了承ください。あくまで、本気で留学したい人のヒントになれば、と思って書いています。コロナ禍のオンライン入試などを経て、入りやすくなったという声もちらほら聞きますが、さあ、どうでしょう？
さて、レベルです。
「熱意があればみんなにチャンスがある！」なんて綺麗事は言いません。そんな回答はみなさん、期待していないと思います。
私見ですが、オーストリアであれば、あなたが若く（20歳以下）難関といわれる、桐朋や東京藝大の入学試験に合格出来る（している）レベルならば、充分チャレンジ出来ます。関東以外の音大については、知識がないのでわかりません。ごめんなさい。しかし、他の音楽大学でも、あなたがその音楽大学の主科の上位5名に入っているのであれば、受験することに関しては全く問題はないと思います。
これを読んで「該当しない」と思う方、がっかりしないでください。その他でも入っている人は、実はいます。統計的にながめて、この人たちの合格確率がかなり高い、というだけです。
入学に際して、 何が問題か、難しいか、と言うと「入りたい教授の門下に空き席がなければ、例え入学試験で合格点に達していても、残念ながら合格出来ない」ということです。これは他の音楽大学でも同じことです。
どの教授のクラスでも構わない、例えばウィーン国立音楽大学のヴァイオイリン演奏科なら教授は誰でも良い、入学したい！と希望するなら、上位20人（できれば上位10名なら安心）までに入れば、空き席のある教授が、もしあなたを気に入って、選んでくれるのであれば、合格できます（受験者数は毎年約100人強）
今まで、私の見てきた限りでは、年齢は若ければ若いほど、点数は甘くつけられる傾向があります。
逆に言えば、21歳以上の受験者に対してはかなり点の付け方が厳しくなります。演奏試験の指定時間も長くなります。（上位の点数は多くは15歳から19歳の予備科受験者に占領されるのが常）
それは、年齢が高ければ高いほど、実力があって当たり前、という目で判断されるからです。22歳以上であれば、当然大学院相当のレベルが期待されます。
これも私が今まで何回も書いていることですが、確実に入学したければ、前もってお目当ての教授を見つけ、レッスンを受けたり話し合いを持つことはとても重要です。
自分の演奏を数曲録画、または録音し、きちんとメールを書き、送ってみましょう。 ひょっとしたらあなたの演奏は入試合格レベルではないかもしれません。しかしアドバイスをもらい、例えば個人レッスンを受けたりなどして、レベルを向上させ、入試合格を目指す事は可能です。留学したいという気持ちがあるのであれば、まずは行動をおこしてみましょう。
実際、入試を全部聞いて、結果を見て、この実力でよく入ったなあと思われる学生もいます。その人達にはすでに取ってくれる教授がいて、教授が現時点であまり上手くなくても（本当にすみません）きっと大学で教えたら上達するだろうし、性格もうちのクラスに入れて問題ない人だ、と判断して、自分のクラスに入れることもあります。人間関係も大切な時があります。
留学したい（留学を最終目的にしてほしくありませんが）もっと上手くなりたい、という熱意があれば、全ては可能なのです。チャレンジあるのみ、です。
