みなさん、経験はありませんか?
または、見たことはありませんか?
発表会や試験などで、誰かが、誰にでもわかるミスをしたり、つっかえたり、挙句の果てにはストップして弾き直したり、ということをすると、連鎖して他の人も同じような間違えをしてしまう、という現象です。
これは本当に興味深いことで、どんなレベルのグループにも起きます。
本番では誰でも、どんなに練習を積み重ねて自信のある人でも、心の奥深いところに
「間違えないといいな」
という気持ちを持っています。場数を踏んだ人ほどそれを表に出すことはないのですが、そんな人でも、つっかえたり、止まったりする人の演奏を自分が演奏する前に見たり聴いたりすると、「感染する」のです。
どこかで聞いたことがあるのですが「間違えないといいな」と思っている人は、いざ、間違えると、もう、その心配をしないで良いという変な気持ちが出てきて、つっかえると「安心する」のだそうです。自分に甘くなるのですね。
だから、気が緩んで、「あ、私も間違えちゃった、でもいいや、他の人も間違えちゃったし」となるのだそうです。
そしてこの現象はクセになるのだそうです。
舞台の上、人前での「つっかえ癖」「止まり癖」は恐ろしいです。いっかいそのツボにハマり込むと、脱出するには大きな力が必要となってきます。
で、何が言いたいかというと、間違えばかりのグループの中で一緒に弾かないことです。(そうなる事がわかっている場合のみですが)
もしくは、いつも間違える人の演奏を、聴かない事。それを訓練にして、「私は私、ミスらない」と心に刻んで訓練するのもアリかもしれませんが、あまりお勧めしません。
娘の子供の頃の先生はオーストリアで子供を育てる最も優秀なウクライナ出身のロシアンシューレの教授でしたが、その点はかなり徹底していました。
「天井が落ちようが、何が降ってきようが、停電しようが、演奏は止めない。」
鉄則でした。
だから、そのクラスの子供たちはつっかえて止まる、なんて子はかなり稀にしかいませんでした。環境作りは大切です。
これはプロフェッショナルの人だけに限った話ではありません。たとえ趣味でも、間違えて「テヘペロ〜」はカワイイかもしれませんが、やっぱり無い方が良いと私は思います。
「今日はうまく行った!」と思えば明日への自信に繋がるし、やっぱり気持ち良いでは無いですか!
間違えそうな時、応急処置として、ボロボロになるのを防ぐために、「つくろう」技術も大切です。いかに自分が間違えていないように見せるか、教授や先生にはバレバレでも、せめてその楽器を知らない素人さんにはわからないレベルにつくろえる技術もマスト中のマストです。
しかし、どんな人でも、雰囲気や状態によって調子が狂うことはアリアリなので、書くのは簡単、実行は至難の業、というのは私達誰でも知っている事です。
自分の度量によって、どうするべきか、どんな環境で弾くべきか、選んていくと良いと思います。舞台の魔物に負けないように工夫してみましょう。