本番でケアレスミスをしてしまう癖がついてしまった時の対処法は?弾く、ひたすら本番で弾き続ける、だった時のお話

ピアノとヴァイオリン

かなりの練習時間を積んで、長く仕上げたはずの曲なのに、ほぼ完璧に仕上げているのに、なぜか本番で、至極簡単な場所でトチる。全然難くない所でポカをやる、間違える。一曲のうち、絶対にどこかをミスる。この悪魔の穴にハマって抜け出せなくなった事がありますか?

これ、うちの娘がカリアリの講習会で数年前に経験しました。もうかなり昔の話です。うちの子はヴァイオリニストです。

カリアリのマスタークラスは世界的に有名なマスタークラスなので、お聞きになったことのある方は沢山いらっしゃると思います。もう、とにかくオルガナイスが素晴らしい。主催者もデスクの人達も本当に優しく、困ったことがあったらすぐに対処してくれて、ここはイタリアなのか?と思うくらい時間にも超正確で、何もかも大満足のマスタークラスでした。

このマスタークラスでは毎晩、コンサートが行われます。で、担当教授がOKを出せば、何回でもコンサートで演奏することが出来るのです。娘は昼も夜も、約2週間の間、毎日コンサートに出していただいたのですが、まあ、この時に上記の、「なんて事のない所でミスる」るつぼにどハマりしました。

はじめの3日間くらい、パガニーニを弾いても、ソナタを弾いても、何を弾いても、たいして難しくないようなところでミスる、全然間違えないような所でミスる、の連続で、本人はもう、精神的にボロボロ。泣くわ、愚痴るわ、わめくわ、の連続でした。

まあ、当時は彼女も若かったせいもあって、精神的に不安定でもあったのでしょう。で、当時の教授が「ヨシ、これを乗り越えたかったら、引き続き毎回コンサートで弾きましょう!でもあんた、練習しないで寝なさい!練習しても良いけど4時間以上しないで!」という感じで、練習時間に制限をつけて、とにかく寝る、そして毎晩コンサートで弾き続けました。

結果、最後の方はミスなしで弾けるようになったのでした。「アレはなんだったの?」って感じです。

当時は瞑想などをしていなかったので、もっと前に瞑想やマインドフルネスを知っていればよかったな、と思うと同時に、何が大切かというと結局「体力」だな、です。

身体も心も疲れていると、絶対にパフォーマンスに出てしまいます。そして、「諦めない力」がさらに大切です。当時、「ああ、今は調子が悪いんだわ。コンサートで弾くのは今回やめておこう」と逃げなかったことです。

間違えようが、怖かろうが、毎日、人前で弾き続けた荒療治が大きな助けになったと思います。これで逃げていたら、回復するまでにもっと時間がかかったかもしれません。

沢山休んで、精神も休ませ、でもパフォーマンスはやめない。これが大事です。(限度問題だけども)

カリアリはなんといっても食事が最高です。ああ、もっと沢山美味しいものを食べて、美味しいワインも飲みたかったな。また訪れたい島です。

娘が参加した時は、ピアノではフランスのルビエ先生やロシアのギリロフ先生をはじめとする素晴らしい教授連が沢山教えていらして、私も聴講が沢山できて勉強させて頂きました。おススメです!