私の大好きな大人の生徒さん達。可愛らしい嘘つき(?)さんのおはなし

ピアノとヴァイオリン

さて、以前にもお話しした様に、私は大人の生徒さんのレッスンが大好きです。なぜなら、やる気が断然あるから。大人の生徒さん、みなさんとても愛すべき方々です。

今日もそのおひとりがレッスンにやってきました。
彼女はウィーンで活躍する弁護士さんですが、入室してピアノの前に座って、第一声は決まっていつも、

「練習する時間がなかったの!本当に、本当に、鍵盤をすこーしも、ほら、(ちょっとさわってみせる)このっくらいも触ってないの。全く練習してないのよ、本当に忙しくて、全然時間がなかったのよ!!!!ごめんなさいね、本当に悪いと思っているわ!!!」

彼女に時間がないのは事実です。
子供はまだ幼稚園だし、家事もあるはずなのにかなりハードにお仕事をしている。(まあ、お手伝いさんいるけど)時たま電話をもらうときも、忙しそうに小声で「今、刑務所からかけてるんですけどね」とか言って、彼女の職業をしらなければギョッとしてしまう感じです。

で、不思議なのが、「練習してないのよ」と大騒ぎするわりには、けっこう弾けていることです。
完璧主義者の彼女なので、ちょっと「盛って」わたしにアピールしているんではないか、と疑いたくなるくらい、前回にやったことが出来ています。もちろん音大生ではないので、あくまで「彼女のレベル」でのおはなしですが、私が頭を抱える様なレベルではありません。

「えー前回できなかったこれ、出来てるじゃない?練習しないで克服しちゃった?」と聞くと、「あら、本当だわ!きっと貴女の教え方が良いのよ」と誇らしげ。高いスーツにブランドのアクセサリー。完璧に仕上げたメイクアップの美しいお顔が嬉しそうです。

なんでもいいんです。
きちんと定期的に私のところに通ってくれて、レッスン中は笑いが絶えずに楽しそうに学んでくれる。平和で、幸せ、と思えるひとときで、大好きな大人の生徒さんのレッスンです。