ピアノやヴァイオリンの習い事と学業・頭の良さの関係
今日は「ピアノやヴァイオリンなどの楽器の習い事」と「お勉強・頭の良さ」の関係についてお話ししてみたいと思います。
ピアノを習うと頭が良くなる?
以前にも書きましたが、私の生徒の多くは、偶然にも学校での成績がトップクラスの、非常に優秀なお子さんたちです。語学も、ここはオーストリアなので、バイリンガルどころかトリリンガル、それ以上を操る子がほとんど。バカロレア取得後に英国やフランスに留学し、一流企業や国際機関で活躍している卒業生もいて、私自身が驚くこともしばしばです。
そのような生徒たちを日々教えていて、私が思うこと。それは、
「ピアノを習ったから頭が良くなったのではない」ということ。
もともと頭の良い、IQの高い子どもたちが、たまたまうちにピアノを習いに来ている、というのが実情ではないかと思います。
頭の良さと家庭環境の関係
頭の良さというのは、悲しいかな、かなりの部分が遺伝によって決まるそうです。もちろん、努力や環境の影響もゼロではないと思いますが、それは今回は置いておきます。
私の生徒さんの多くは、次のような経歴を持つご家庭のお子さんです。
- 親御さんが良い企業や機関で働いており高収入
- それを実現する高学歴を持っている
- 頭がもともと良い
- クラシック音楽を楽しむ家庭環境がある
- ピアノやヴァイオリンを習わせる経済的余裕がある
つまり、IQの高いお子さんは集中力があり、ピアノやヴァイオリンも楽しめる、という好循環が自然とできあがっているのです。
ピアノを習えば成績が上がるのか?
集中力に欠けていたり、学校の成績が芳しくないお子さんが、ピアノやヴァイオリンを習ったからといって、すぐに学力が上がるかといえば、私は少し疑問に思います。
学校で集中力がない子が、楽器のレッスンで突然集中力を発揮するというのは、現実的ではないかもしれません。ただし、例外として、
- 良い先生に出会うことができた
- その子自身が楽器に非常に強い興味を持った
このような特別なケースでは、ピアノがきっかけで学業にも良い影響を与えることがあるかもしれません。
クラシック音楽に触れたことのない家庭では?
私自身は違いましたが、クラシック音楽に親しんでこなかったご家庭の子が、いきなりクラシックピアノやヴァイオリンを好きになるのは、かなり稀だと思います。
今は世の中にもっと身近で楽しい音楽が溢れています。そんな中で、勉強ができるようになるからといってピアノを習わせるのは、少し目的がずれているように感じます。
大人のピアノと脳への効果
私が「ピアノは脳に良い!」と本当に感じるのは、むしろ「大人のピアノ」の場合です。
普段の生活で使わない指を動かし、自分の奏でる音を聴き、音楽を楽しみながら心が喜ぶ。これはもう、アドレナリンも出まくり、最高のアンチエイジングで、脳にも良い刺激になると私は思います。
しかも、大人の場合は「自分がやりたい!」という意志で始めるので、効果も格段に違います。
好きでもないのに「頭が良くなるから」と無理に習わせても、効果はイマイチでしょう。もちろん、指を動かさないよりは絶対に良いと思いますが。
「楽しい」という気持ちが学びを支える
人は、楽しくないと物事を覚えません。根性と我慢で何かを身につける時代は、もう終わりつつあるのではないでしょうか?
もし子どもがピアノを習って、音楽を好きになり、自然と上達したとしたら、それは本当に素晴らしいことです。
同じように、勉強も「楽しい」と思えるようになれば、成績もきっと伸びていくはずです。
ピアノは勉強のために習わせるべき?
結論として、子どもがピアノに興味がないのに「頭が良くなるかもしれないから」と習わせるのは、やっぱり違うと思います。
ピアノを習わせるのであれば、ピアノや音楽そのものを楽しむことを目的にしてほしい。学校の成績を上げたいのであれば、勉強を楽しませてくれるような先生を探した方が近道です。
やっぱり、「好きこそものの上手なれ」です。