大人のピアノ 生まれて初めてのピアノのレッスンは感激的というお父さんの話

ピアノのお部屋

今日はある大人のピアノの生徒さんのおはなしです。今はすっかりコロナが挟まってしまって残念ながらご無沙汰しています。

コロナ禍の数ヶ月前、ある生徒のお父さんから、突然、「私もピアノを始めることに決めました!」とメッセージが届きました。「教えてくださいますか?」ではなく、「始めることに決めました!」というところに決心の強さが見えます。

しかしこのお父さん、息子のレッスンにつきそうワケでもないし、クラシック音楽に興味があると思っていなかったので、少し意外でしたが、「是非是非」と、喜んでお教えすることに。

「どうしてまた急に、ピアノを始めたいと思ったのですか?」と聞くと「息子が習った、『ルイーゼ』を是非、私もいつか弾きたいんです」と熱く語る。「息子は私が頼んでも、いつも弾いてくれるわけではないので、それならいっそ、ワタクシが自分で弾こうかと!」

なるほど、それは素晴らしい動機ですね。しかし、『ルイーゼ』とはなんだ?

あっ、『エリーゼ』かい!と心の中で理解して「それは素晴らしい!頑張りましょう!」と激励しました。お馴染み、ベートーヴェンの「エリーゼのために」ですね。この曲はどの国の人の心も打つようです。みんな大好き。

私が今日書きたかったのは、おとなが興味を持って何かをやろうと決心して始めると、すごい力を発揮する、ということです。

お父さん、わからないことがあると即、その場で質問をしてくださいます。曖昧にわかったふりをせず、わかるまで的確に質問してくださるので私も助かります。楽譜と鍵盤の位置を習得し、はじめは数えながらですが、楽譜のシステムというものもきちんと理解してくれました。

はじめは「なぜ、どうして、ここにも、ここにも「ド」があるんですかっ!?違いはなんなんですっ!!」と混乱していたのも束の間、きちんと音の高低も理解してくれました。音楽に慣れていない人にとって、音楽をやっている私達には当たり前の、「音の高さ、低さ」というものがすぐには理解できないのは当たり前ですね。

「ちょっと歌ってみてくださいます?ド〜♬」というと、「歌うなんてとんでもない!!!」と即却下。

「大丈夫、ほら、息子さん、ゲームやって聴いてないし、勇気を持ってちょっと歌ってみましょう」というと、
「ド〜〜〜〜♬」と恐る恐る歌ってくださる。日本みたいにカラオケがあっちこっちにあるわけではないので、歌うことに慣れていなのですが、これもなんとかクリア。

例によって、ギロックからまずは右手の簡単ですが、美しいメロディーを数小節始めると「なんと美しい!!!素晴らしいメロディです!」と心から感動してくれます。

左手はまだまだつける予定はなかったのですが、どうしてもチャレンジしてみたいとおっしゃる。それならまずは和音のところを単音でお教えすると、これまた「なんと美しい!!!」と感動。

しかし素人さんがそんな急に両手で弾けるわけもなく、亀というよりカタツムリのテンポで1小節、いや、数音単位でチャレンジするのですが、失敗するたびに、「おおおおお〜っshit!!!」と拳を振り上げるその手を自分のもう片方の手で抑え、
「ああ、失礼!!!下品な表現を!」とかいって謝る。もう、超まじめで礼儀正しい。

あんまり頑張るので「大丈夫ですか?もっと簡単な感じが良いかしら?」と伺うと、「とんでもない!楽しいですっ!!!」とのお答えにホッとする私。

楽しいだけでなく、身体の緊張を解いて右手と左手とそれぞれの指を使って違う動作をする。これはとても身体に良いことなのです。

大人からピアノを始めると、子供が始めたのと同じような進歩は難しいですが、脳も刺激されるし老化防止に最適です。
それに弾きたい曲があったり、今まで全く出来なかったことが出来るようになると、とても楽しい。コロナが落ち着いて、レッスン復活して、お父さん、早く「エリーゼのために」が弾けるようになると良いですね。