音楽を学ぶものにとって一番の悩み、と言っても良いかもしれません。
騒音問題。皆さんどうしていらっしゃいますか?
日本の多くの音大生、ピアノの先生方は防音設備をしていらっしゃるそうです。ピアノ以外でも騒音が原因で怖い事件が起きることもあるようなので、万全を機したいところです。
さて、ウィーンでピアノやヴァイオリンの練習の苦情がきたら、どうしましょう?もともと「音出し可」の物件に入ることは必須ですが、上下左右、住人が変われば苦情が来ることは簡単に想像できます。
さて、直接「ピアノの音がうるさくてたまりません。やめてくれませんか?」、といわれた場合。とにかくあやまります。これは交通事故ではないので、「謝ったら負け」というふうにはなりません。
「私、ウィーン国立音楽大学のピアノ科の学生なんです。だから1日に最低でも○○時間、練習しなければいけないのですが、どの時間帯だったらあなたは譲歩できますか?話し合って解決できますか?」
と、丁寧に聞く。
これで相手が良識的な人だったら「私は何時から何時まで家にいないから、その時間に弾くようにしてくれると助かるわ」とか「夜の10時以降は弾かないでください」等の解決案が出て、そのルールに従えば以降、問題なしのはずです。だからはじめのこのプロセスは本当に大切です。
しかし相手が怒りまくっていて、
「冗談じゃないわ。二度と聞きたくないわ。この下手くそ!」などと反応したらこれはもう、諦めるしかありません。
確かな統計は取っていませんが、裁判沙汰になると大抵、負けます。昔は「夜10時までは音出しOK」などという都合の良い口コミが出回っていましたが、どうやら違います。知り合いの音大生は「1日、2時間なら弾いても良い」という判決が出て、結局引っ越しました。音大のピアノを借りたとしても、ピアノ科で1日2時間の練習は不可能ですから。ヴァイオリンも同じことです。解決案は引っ越し。。。。。
隣人からドアをドンドンと叩かれたときも、同様です。
日中であればその場で、夜であればすぐに練習をやめて、後日、日の明るい時に訪れてみる。(女性の場合は友人と一緒に行ってもらうか、Hausmeisterと一緒、できれば一人で行かない)話し合うことが大切です。
最も悪いのは逆ギレしてドアを叩き返したり、ケンカ腰に出ることです。これだけは絶対に避けましょう。断言して良い結果にはなりません。引っ越しして費用を払うのはあなた。
音出し可のアパートを探すときも慎重に探すことをお勧めします。音大生を対象に貸し出しているところなら多分問題ないと思いますが、普通の不動産屋さんは貸してしまった後のケアはしないので(日本とは違う)注意が必要です。簡単に「ウィーンは夜10時までどこでも音出しOKだよ」といわれても、信じてはいけません。
以下、我が家の話です。
うちの建物は、ウィーンのいわゆる古いタイプのアパートで、天井も高く見た目は良いのですが、作りはシャビー(不動産屋曰く)よって、ピアノの音は上下に筒抜けでかなりの音です。ヴァイオリンもうるさい。
私は最高にラッキーで、上下のご近所さんは「全然だいじょうぶ、たくさん弾いて」なんて言ってくれますが、「はいそうですか」というわけにも行きません。私は譜読み程度はサイレントでやるし、娘も夜の10時以降は弾きません。上の住人とも話し合って、日中は彼の寝室の下の部屋での音出しはOK、みたいに決めてあります。
昨日、うちの隣に荷物を運び入れている人たちがいて、よく見ると、若いカップルが引っ越してくるようです。
早速娘と出向いて「うちはピアノとヴァイオリンを仕事でやっているの。うるさかったら教えてね」とご挨拶したところ、「アパートの間にバスルームもキッチンもあるから、全然大丈夫よ」とフレンドリーに言ってくれました。
実際、左右には音は行かないのですが、やっぱり「この顔のひとがこの音を出している」ということを知ると、人間は安心します。
私も上の住人の足音がうるさいときは、非常にイライラしたのですが、いざ会って、話して知り合うと気にもならなくなるので不思議です。
多くは人間関係で解決できると思うので、まず、はなしてみることが大切だと思います。