日本在のピアノの先生とお話をしていると、毎回浦島太郎状態を実感している私ですが、今日はこの「発表会」について書いてみたいと思います。
お友達によると、日本のピアノのお教室では(音大以下の学年を想定しています)年に1〜2回、発表会を行うそうです。オーストリアでは、私の知る限りではありますが、クリスマス時期と夏休み前に「コンサート」を開く場合が多いです。
大きな違いは、やはり費用でしょう。
日本では会場を借りたり、先生へのお礼、お花代、その他色々お金が必要となります。
ドレス代もありますが、それについてはこちらにちょっと書いています。
一方、こちらでは街の公の音楽学校には小さなホールがついているので、そこの生徒達は大概料金ゼロでコンサートに参加することができます。
個人のお教室によっては、料金を出して会場を借りる場合もあると聞きました。うちの場合は、お金の負担は避けたいので、引っ越す前はうちのアパートの狭い居間でハウス・コンサートとして行っていました。コロナ禍で遠ざかっていますが、再開するとしても、うちの子の狭いスタジオでやることになるでしょう。
話はちょっとずれますが、ウィーンで1時間単位で借りられるホールをご紹介しましょう。コンクールの録画などで借りる人もいます。
こちらはクラヴィア・ギャラリーという機関のウェブサイト。
ここのエアバーザールはとても由緒あるホールで、五嶋みどりさんも演奏会をなさったことがあります。先日はウィーン国立音楽大学の声楽、トロースト教授のクラスコンサートが行われました。ここでプライベートでコンサートを行う場合の料金は別途問い合わせなければなりませんが、日本の人から見たら多分安いと思います。ここのレッスンスタジオは、私が自宅でレッスンできない時などの時に使わせてもらっています。いずれも料金はそんなにお高くないかも。学生さん達もよく使用しているようです。
さてさて、話を発表会に戻します。
欧州と日本の発表会の大きな違いのひとつは費用のほかに演奏曲目があります。
日本はアニメ大国。
日本の数人の先生からお聞きしましたが、悩みはこの「アニメ曲」や「ポピュラーな曲」だそうです。流行りのものは、子供たちみんなに大人気で、ひとりだけに弾かせるわけに行かない、せっかくやる気があるのだから弾かせてあげたいけれど、全員が同じ曲を弾くわけにもいかず、またはクラシックの曲が全然ない発表会になってしまう事については、ちょっと悲しくなる先生もいらっしゃるようです。
確かに、せっかく音楽大学でクラシック音楽を学んだのに、自分のお教室の発表会の生徒が全員アニメ曲やポピュラーなものを演奏すると、なんか違うんじゃないか!!!と思ってしまう気持ちもわかります。
ある先生は、そうなったら2曲弾かせて、せめて1曲はクラシックのものを演奏させるようにして解決しているそうですが、それは良いアイディアだと思いました。
先生たちも色々努力していらっしゃるのがわかります。
こちらではアニメ曲やポピュラー物が日本のように人気ではないので、そのような心配はあまり起きません(うちの教室だけかもしれないけど?)
私が覚えているものでも、数年前に流行ったフランス映画の「アメリ」(これは流行った!)くらいでしょうか?個人的にはジブリの曲が綺麗だと思うので、「こんなの好き?」といって生徒に「もののけ」や「トトロ」の曲をふってみるのですが、けっこう食いつきが悪い。不思議です。綺麗なメロディで良い曲なのに。やっぱり出身地によって刺さる曲と刺さらない曲があるのでしょうか?
国籍・年齢を問わず、大人気なのは決まっていて、「エリーゼのために」がダントツです。大人の生徒さん(生徒くんのパパ)が「ワタシの目標はルイーゼです!」と言い張るので、はて、なにかと考えてみたら「エリーゼだった」というオチがあるほどです。
数少ないのですが、さすが音楽の都ウィーンだな、と思う時は、子供たちが「モーツァルト」が大好きだと騒ぐ時です。なにがなんでもあの有名なソナタの終楽章「トルコ行進曲」が弾きたい。親御さんも、ご自分の子供がモーツァルトの少曲をサラッと弾けると鼻高々です。
さて、コロナの存在もすっかりなくなり(あるんだろうけれど、すでに消去されている感じ!)今年のクリスマスからコンサート復活となりそうです。