ウィーンで引越し真っ只中の私が、体験談をお話しします。ちなみに、運送屋さんについて

ピアノとヴァイオリン

さて、引っ越しというのは荷物を移動するわけですが(当たり前)どうするかは人それぞれです。

ひとりもので荷物が少ない学生さんなどは、IKEAでダンボール箱を買ってきて、誰か車を持っている人や友人に手伝ってもらって引っ越しをする。お礼はその日の食事だったり飲み代だったり、みたいな感じです。

社用で引っ越す場合は会社が全て出してくれるので、きちんとした運送会社に頼みます。
下見に来て、段ボール箱もきちんと用意してくれる。日本ほどのサービスは難しいかもしれませんが、頼めばパッキングもしてくれます。難点は「高い」ということです。

さて、中途半端な、私みたいな庶民はみんなどうしているか、というと、普通にネットで運送屋を見つけて電話やメールをして、依頼します。

引っ越し業とは荷物を移動させるだけではなく、ゴミの処理などもしてくれます。引っ越すのに、今使っている家具は持っていかない、新しいものを買いたい、なんてよくあることです。

あ〜、急に思いつきました。
それと、これは日本にはないのですが、万が一、ウィーンで引っ越す方がいる場合に参考になるのではないかと思って書きます。

ウィーンでアパートを借りると、大抵は地下室(ケラー)の一室も、もれなくついてきます。
清潔で乾いているような地下であれば、洋服が置けたり、ワインを保存したりできます。
しかし、建物によりますが、湿っていて、何も保存できない、全部かびちゃう、みたいな私の持っていたようなものは、かえってない方がマシだったりします。

私は初めからケラーが大嫌いなので(汚い、蜘蛛の巣だらけ、暗くて怖い)全く使用していなかったのですが、なんと、他のアパートをリノベートしたどこかの業者か個人が私のケラーの鍵を破り、そこに粗大ゴミをぶちこんていました。ちゃんとチェックしていなかった私が悪い(法律的には)のですが、怒り心頭です。

なぜならアパートを引っ越す時には、完全に何もない状態で、ケラーの部屋を返さなければいけないからです。

ケラーをお持ちの方は、定期的にチェックすることをお勧めします。

で、引っ越し業者の話に戻ります。
だから、荷物を移動するほかに、このケラーの総ざらい、みたいな仕事もやってくれるわけなのです。

で、もっと本質に戻りますが、私のようなケース、これが面倒なんです。
まず、私の場合は知人から紹介された運送業者に電話をしました。そうすると、まず、そこのボスが「下見」に来ます。

うちに来て、段ボールが40個(ほとんど楽譜)洋服のパックが7個くらい、そして細々としたハシゴやなんやかんや、実際あまりありません。しかし、しかし、ケラーを見るともう、私の見覚えのない100歳くらいのストーブや木の箱などが五万と詰まっているではないですか。それと私の巨大なベットとタンスの処理。

本当に、怪しげにしか見えない外見のボスが私に言います。
「1000ユーロでどう?」
私は目を丸くして、「いやよ、なにそれ、高すぎます。」というと、
「え?いくらくらいだと思ったんですか?コロナの後ですよ。物価も上がってるし。。。」
「せいぜい700ユーロくらいだと思ってたわ。1000ユーロならやらない。ほかに頼みます。」
「じゃあ、900ユーロ!!!」
「いや、800ユーロよ!!!!」
「う〜〜〜〜ん、850ユーロ!これ以上は無理です」
「カモン、たったの50ユーロよ、800ユーロでやって!」
「頼みますよマダム、これだと儲けがなくなっちゃう」

「でもね、あなたこれ税なしでやるんでしょう?儲けあるじゃないのよ」というと、「ケラーだけでも350は下らないから無理無理」という。。。

結局は850ユーロでやることになったのですが、これね、あちらははじめっから850ユーロくらいでやるつもりだったんですよ。うちに来て、私が日本人、そしてど〜んと居間にあるグランドピアノを見て、「取れる!」と思ったんでしょうね。やれやれです。

さて、これ日本円にしたら10万円を軽く超えます。しかも、日本のようにきめ細やかな仕事をするわけではありません。人によってはバーン、バーンって乱暴に扱うし、パッキングなんてしてくれないので、綺麗なソファーなんて汚れて大変なことになるのです。だから私は絶対に、大切なものは運ばせません。壊れ物、大切なものは知人の車で運んでもらいました。

だから、お金のある人は、きちんとした運送屋さんに頼むことをお勧めします。

さて、私がなんでこの手の会社(一応ちゃんとした会社)が嫌いかというと、このように書類は残していてもかなりアバウトで相手が請け負う場合、「保険」という存在は当然消滅します。

だから、もう私はすっごい形相で初めから終わりまで、物が紛失していないか、落としてないか、を観察しまくるのです。だからもうねえ、本当に疲れました。目つきが悪くなっちゃった。

幸いに当日来た3人の男性は、身体中、墨でモンモンでしたが、気さくで真面目で、働き者だったので、アホな私は沢山チップをあげてしまいました。ボスとは違って優しい目をした良い人達でした。東欧人。

結果無事に済んだのですが、みなさま、ケラーだけは本当に気をつけましょう。
さて、次回はグランドピアノの運送の話をします。