ウィーンの住宅事情をちょっとだけ 何を優先するか、を明確にするのがよし

ピアノとヴァイオリン

以下、全く私の感想です。個人の見解。なので「へーそうなんだ」くらいで読み飛ばしてくださればと思います。

ウィーンで住宅を探す場合ですが、それはもう、それぞれの立場によって全然違ってきます。

企業等の駐在の場合は、機関が家賃もある程度負担してくれたりするし、機関の専門の人が物件探しも手伝ってくれるでしょう。

だから「ある程度の希望」を伝えれば良い、という感じですが、全部自分でやらなければならない場合は結構ストレスです。

予算に上限がなければ良いですが、大抵の場合はそうはいきません。そうなると、「絶対に譲れない件」以外は諦めなければいけない個所もでてきます。

私の場合は何よりも「音出し可」が最優先なので、「住みたい地域」をある程度諦めることになります。

例えば私の今住んでいるウィーン9区はそこに住む人間もOKで(何を持ってOKかという点はふれませんが)緑もほどほどにあり環境が良く、大好きなのですが、ここでガンガン弾ける物件を見つける、となれば、ちょっとむずかしい。

ウィーンの古いタイプの物件(Altbauという)で天井が4メートルあり、広さは最低でも120平米、しかも下にも上にも人が住んでいない、となると、まあかなり見つけるのは難しい。そして家賃は20万円を軽く超えることでしょう。

私が今まで音の問題なしに生活できていたのはひとえに下の住人さんがめちゃめちゃ優しいという偶然があったからです。だから尚更、こちらも最小限に音を出す、ということになっていました。(結局思い通りには弾けない)

ヴァイオリンについては、音が上に行きます。ムスメの部屋の上は、金持ちビジネスマンの寝室になっていたため、かなり弾いても大丈夫でした。これも運が良かっただけです。

それでも10時近くに娘が高音でガンガン練習すると私は結構ビクビクしていたものです。だって、うるさいんだもの。本当に、真面目にかなりの音です。

そしてもっとこわいのは、大丈夫そうな物件を見つけたとしても、どこかから音の苦情が来た場合、裁判にかかったらまず、負ける、ということです。

よく、人はいい加減に「10時までならなにをしてもいいんだよ」と言いますが、それは嘘です。気をつけて下さい。もし、そのアパートの住人が本気になって決断したら勝ち目はないのです。

私の知っている人は、ピアノ科ですが判決は「1日2時間なら練習しても良い」で、泣く泣く引っ越しました。

ダラダラと長く書きましたが、「音を出さなければいけない」のならかなりシリアスに探したほうがいいです。もしくはいっそ弾けない安いアパートに住んで、学校やスタジオを借りて練習する、というふうに割り切る、などです。

小さいお子さんがいる場合は「安全な地区」はマストです。これも人の価値観によって違うと思いますが、私は子供たちが小さい時はそこに重点を置いてアパート探しをしました。

ウィーンは非常に安全な街です。

しかしながら、これは個人の感想ですが「私にとってこの環境は絶対に嫌、ありえない」という地区はあり、そこは何があっても問題外でした。

譲れない点をみつめて、予算に合わせて選ぶ、これが大切になります。

予算を考えずにどこでも選べたら良いのでしょうけれどねえ。まあ、庶民はこんな感じです。