*「小さな嘆き」、どころか「大絶叫」のような朱色の書き込み。もっとすごいものもありますが、載せるのはショックなのでこの程度にしておきます。想像するにg-mollを理解していなかったのだと思いますが、「まずは音階を教えなさい」、と当時の教師だった音大生に、私がタイムマシンに乗って教え方を指導したいです。これ、私が今見ると、筆圧の苛立ちが、大袈裟でなく虐待レベルに感じます。「なんどいったらわかるよの!」的な…*
日本に住むお友達の先生が、「やたら赤ペンがなくなる」と書いていらして、ふと、子供の頃を思い出したので書きます。
私が小学生低学年の頃ピアノを教えていた近所の音大生は、まあ、朱色の色鉛筆で私の楽譜にごちゃごちゃたくさん書き込んでいました。指番号や、音間違え、今見てもゾッとする多さです。きちんと説明したんだかしないんだか、私の出来が悪かったのだかなんだか知りませんが、とにかく朱色の色鉛筆の色がケバケバしく、非常に嫌だったことを思い出します。
そして曲が上がると、「大サービス!!!」みたいな勢いで五重丸をすごい勢いでグルグル書いて、その周りにお花のように半円を沢山描くのです。ブルグミュラーの邦題の横に威勢よく描かれたお花みたいな五重丸、これがご褒美なのね、と子供心に思ったものです。正直、嬉しいとも思いませんでした。
以前にも書きましたが、不幸なことに私の母はクラシック関係超ど素人だったので、適当に「うちの近くだから」とピアノ教師を選んでしまったことが呪われます。本当に音大生だったのか?どこの音大だったのか、全て不明です。子供心に覚えているのは、時々、レッスンを10分もしないで終わらせた事もあったことです。きっと早く遊びに行きたかったのでしょう。
さすがに音大で教えるような先生のレッスンで、そんなことをされたことはありませんが、日本では子供にはそうやって教えるのが、普通になっているんでしょうか?不思議な気持ちで思い出しています。
こちらは、というと、消しゴムで消せないような色鉛筆やマジックで楽譜に書き込む先生は、子供専門の先生でもあまり見たことがないような気がします。私がそういう人たちを知らないだけかもしれません。
大学教授では、私の知る限り、鉛筆以外で書き込む人はいません。(知らないところではいるのかも!?)私の少し習ったことのある、モーツァルテウムの教授は、「書き込んでもいい?」と私の許可を得て、それはまあ、綺麗に削った鉛筆で、注意事項を美しく書き込んでくださいました。性格もあるでしょうが。。。。
だいたい、楽譜は貴重品です。安いものではないし、オリジナルは綺麗にとっておきたいものです。日頃の練習の為に鬼のように書き込む場合、バッハの声部を色分けして書き込みたい場合はコピーに書き込むか、今は便利なiPadで素晴らしいアプリをダウンロードして、そこに自由に書き込むことが可能です。良い時代になったものです。
で、何を言いたいかというと、私はできるだけ生徒の楽譜に書き込まないし、書くなら消せる鉛筆のみを使います。だって、汚くなっちゃう。。。それと面白いことにこちらの子供達は「書かないで!!!」とはっきり述べる子供がとても多いです。大人の生徒さんでも、「だめ、指使いは書かないで!覚えるから、絶対覚えるから!」と努力を見せる方も多いです。でも日本では「先生」に「書かないでください」なんて言うこと自体想像できないですよね。私もきっと言えなかったと思います。そんなことを言ったら、「誰に向かって言ってます?!」と思われてしまうこと鉄板でしょう。無理無理、怖いし。
まあ、要は楽譜が綺麗だろうが、汚かろうが、きちんと上手に弾ければそれで良いのです。
ふと、昔の汚く朱色の鉛筆でごちゃごちゃ書き込まれた全音のブルグミュラーの楽譜を思い出して、子供時代の自分が非常に可哀想になりました。