ピアノの暗譜について色々書いてきたのですが、暗譜のコツ(1)(2)(3)大昔の記事で年齢別に書いたものがあったので、今日はそれをアップしてみます。重複するところもあると思いますが、お許しください。
子供の場合
さて、うちの場合は、レッスン中にかなりしつこく、出来るまで部分練習をやらせるので、そのプロセスの間に覚えてしまうことが殆どなので、一曲できた時は暗譜ができている状態です。
しかし、自分で譜読みをしていらっしゃい、と言われてやって、自分流でなんとなく弾いて、なんとなく弾き続けた曲を暗譜するのは一苦労なのです。なぜかというと、細かい練習をしていないからなんとなく手の感じだけで覚えちゃっている。この場合は本番で緊張するとバーンと記憶が飛ぶので危ないです。
理想は譜読みの段階から、部分練習を暗譜して弾けるくらいにガッチリやって、出来たら進む、という方法です。
でも子供って器用だから、そこまでプロフェッショナルにさらわなくても暗譜できちゃったりします。そうするとそこでストップになって上達しないという問題も出てきます。このように習っていて、プロに転身しようと思ったときはちょっと一苦労なので、きちんとこだわって覚える習慣をつけると良いと思います。
一方、大人の趣味の場合は、暗譜にこだわる必要は全くないと思います。
暗譜にこだわって、例えばバッハや多旋律の曲を、なんとなく手の形だけで縦つながりで覚えてもあまり意味がないのです。それぞれの声部が横つながりにレガートに出来上がってなければ、例えばブラームスの小品でも楽譜に書いてある音符を指で押しているだけだとせっかく練習したのに残念です。譜面を見ながらきちんと各声部を意識して弾いた方が美しく仕上がるのでそちらの方が良いです。
ここからはちょっと上のレベルの人達のお話です。クラシックの演奏家やコンクールを目指す人達への暗譜に対するアドヴァイスです。
有名どころの教授の初対面での講習会に暗譜しないでくる人がいますが、これは絶対にNG。
すでにその教授の門下生で、通常のレッスンのようにマスタークラスに参加する学生は、初めての曲を持って行ってふつうにレッスン、ということはありますが、初対面では全然違います。
譜面を開いた瞬間、「そのレベルか」と思われてしまうので非常に残念です。ヴァイオリンでは、これは私の感想ですが、ソナタであってもほとんど暗譜状態で参加した方がぜったいにいいです。
話をピアノに戻します。
故バシキロフ教授のマスタークラスで、ショパンのエチュードのある箇所、教授に
「そこ、左手だけで弾いてみなさい!」と言われて、学生が「ええええ〜」と言って暗譜でその個所が弾けなかった時のバシキロフ教授のあの時の顔、忘れもしません。
両手でないと暗譜で弾けない、または曲のはじめからでない弾けないのは、やっぱり恥ずかしい。プロフェッショナルにさらって準備しましょう。