先日、IKEAの棚を買いました。
「組み立ては絶対に自分でしてはいけない」と生徒さんから懇願されたので、組み立てもお願いしたところ、きちんと時間通りにイケアの人がやってきました。
感じの良い男性です。
「英語で大丈夫ですか?」というので、
「全然大丈夫よ、あなた、ご出身は?」というと「ウクライナ」だという。
彼は丁寧に箱から棚を取り出すと、それはまあ丁寧に段ボールを畳んで横に置き、あっという間に2つの楽譜だなを作り上げてくれました。で、スモールトーク。
戦争が始まって即、奥さんと7歳のお嬢さんを連れて国を出たのだそうです。当時奥さんは妊婦さん真っ只中、殺されてなるものか、と逃げ出してきたそうです。当時、そこに残っていたら、彼らは生きていなかったかもしれません。本当に無事で良かったと思います。
ウクライナで彼は普通のホワイトカラー、きちんと学歴もあり、それなりの企業で働いていたそうです。
「今の仕事は昔の仕事と何の関係もないじゃない。大丈夫?」と聞くと、ドイツ語が出来ないことが、職種を選ぶのに大きなきなネックになっていると言います。そっかー。でも貴方のように流暢に英語が話せるのなら、がっつり勉強したらドイツ語は数ヶ月でマスターできるはずだというと、「だから僕、このあと、ドイツ語教室に直行なんです」と笑っていたけれど、本当にそうなると思います。
彼のように、自国できちんとした職を持っていても、語学が足らないだけで職業が選べない。外国で希望の職種に就くって、実は簡単なことではありません。言葉はできて当たり前。それより「何ができるのか?」が問われます。
揺るぎのない財産があって、リタイア後に外国移住なんて優雅な感じなら良いですが、何にもないところから1からはじめようと思ったら甘くありません。家族がいたら尚更です。ああ、外国で生きるのってつくづく大変だと思いました。
彼としては移住なんて気は毛頭なく、平和が戻って祖国で昔のように生活することがいちばんの望みなのでしょうが、ここにいる間はせめて、以前のように自分の実力の発揮できる仕事につけたら良いのにな、と願って止みません。頑張ってる彼に、ラッキーなことがたくさん起きますように!