ピアノ 手の大きさ ピアノに向く手、向かない手はあるの?それはどんな手?

ピアノとヴァイオリン

これはよく聞かれる質問です。
私の答えは、小さい時からきちんとした指導者に指導されていれば、良い手は造られる、です。
無理をせず、きちんと指導されると、それなりに手も広がるようになるし、体力もつきます。しかし、それは幼少から、と言うのがミソです。年齢がいってからやるのは、クラシックの国際コンクールのファイナルに残るようなプロの演奏家になるのにはちょっときついかもしれません。

でも、悲しいかな、元から身体がめちゃめちゃ小さくて、手自体が本当に小さい場合は、残念ながら大きくはなりません。
私がそうで(まあ私の小さい時の指導者自体、全然良くなかったと思うけど)身長は162センチあるのに、手は大きくないのです。9度がやっと。だから、プロコフィエフの戦争ソナタなんて、ゼーったいに弾けません。メフィスト・ワルツだって人前で弾くとかなんては絶対に無理です。だから、なんでも弾けるレパートリーを持った演奏家には、元々絶対になれない。物理的に自分の演奏可能なレパートリーを選ばなければいけないので、本当に悲しいことです。だから、若い頃は思ったものです。私の子供であれば手は小さいはずなので、子供にピアノを習わせるのはやめよう、と。初めから可能性の限られているものは、やらせるのはやめようと思ったものです。

さて、どうして今日はこんな話題になったかと言うと、今日来た12歳の生徒ちゃんの最近の成長がすごく、身体だけでなく、本当に手が大きくなって、驚いたからです。まあ、私の生徒といえば、ほとんどが外人(こちらでは私が外人ですが)なので、5歳の子を除けば、生徒全員私より手も大きく指の長いのですが、まあまあ本当に指も長くて手も大きくて羨ましい、それになんかこう、手の形も良く、ピアノの為に調達したような手なのです。

ちょうどベートーヴェンの月光ソナタを始めたのですが、出だしの分散が本当に手の中に収まる綺麗な感じで素敵なピアニッシモを刻む事ができる。手の中で音をコントロールする感じがなんとも言えず、良いのです。頭の良いお嬢さんなので、言われたことがすぐにできるのも素晴らしいことです。

いいわねえ、あなた。趣味でもこれだけ道具を持っていたら、努力したら何でも弾けるようになるのよ。だから頑張って、私の分もたくさんのレパートリーを作って、ピアノを楽しんでちょうだい!と言ったら嬉しそうに微笑んでくれましたが、本当に本心です。

ピアノは他の楽器に比べると、作品数が膨大なので、自分の演奏可能なものだけでも一生で弾ききれないほどあります。
だから贅沢を言っていたらバチが当たるのですが、生まれ変わったら外人女性か男性のピアニストになって、絶対に弾けないような曲を弾いて見たいな、とやっぱり夢見てしまう私です。