以前にも書きましたが、夏が近くなるとなおさら持ち出したくなるこの話題。お付き合いください。
さて、日本と(多分アジアと?)欧州での生徒の違いは結構あります。
何十年も経った今では、すっかりこちらの子供達に慣れ、真面目な日本人の生徒さんに戸惑いを感じてしまうコトもある私ですが、まあ、いろんなことがあります。同じ日本人で欧米在住のピアノの先生と「そうそう〜〜!!!」と盛り上がるのが以下のような場合です。
小学生高学年の元気の良い子供たち。
学校から直にレッスンにやってきて、ドアを開けて入ってくるなり「お水、く〜ださいっ!!!」英語やドイツ語の丁寧語で「お水をいただけますか?」という子もいるけれど、普通、日本だったらレッスンに駆け込んできて、いきなり「お水ください」って言えませんよね。若い頃、初めて体験した時は本当に驚きました。今は全然慣れていて(というか、子供に水分不足は大敵なので)ガブガブ充分に与えます。
もっと驚いたのは「○○ジュースはありますか?」(しかも丁寧な表現で聞いています(笑)若い頃は「うち、喫茶店じゃないし!」とムッとしたのですが、今では慣れて、こちらも丁寧に、「うちは甘い飲み物は飲まないのでないのよ。お水でよろしい?」と聞きます。返答は「もちろんです。ありがとうございます」。8歳の女の子との会話。
ある、高校生の女の子はレッスンが終わってお支払いの時、有名ブランドのお財布から100ユーロ札を出し、「お釣りあります?」財布を覗くと、私のお財布よりもキャッシュがたくさん入っていて、目が点になったり。。(こちらでは以前書いたようにレッスン料を封筒に入れる、という習慣がありません。ニコニコ、キャッシュで現金会計です)
日本で人気のYouTuberのピアノの先生が、子供時代に先生に「お手洗いに行きたいです!」のひとことが言えなくて、真っ赤になって、思いっきり我慢する姿が「アルアル」でみんなに受けていますが、こちらだとそれは、ほぼない悩みのようです。
全員がしっかり、「お手洗いを貸してください!」とはっきりと申し出て、堂々と行ってきちんと手を洗って帰ってきます。こちらも下手に我慢されて、膀胱炎にでもなられたら困るので、どうぞどうぞ、って感じです。
しかしまあ、身体に支障が起きるような喉が渇いたとかトイレに行きたい等の生理現象は怖がらないで発言することが大切ですね。
某アジア国出身の7歳の女の子がはじめ数回のレッスンの時の様子は、超可愛かったです。とても集中してレッスンしていて、「はぁ〜〜〜っ」と息をついて一言、「まだ2回目のレッスンだから、とてもエキサイティングしちゃって、喉が渇いてたまらないの。お水を飲んでも良いですか?」と言って、自分の持ってきたミネラルウォーターを一気飲みしていました。自分で飲み物を持参、っていうのはやっぱりアジアのメンタリティーですね。感心。
しかし、今考えると、私も言えなかったなあ〜。レッスン中に「お手洗いをお借りしてよろしいですか?」なんて。「お水が飲みたい」なんて、そういう発想自体なかったです。やっぱり我慢しすぎは良くないかもです。なんでも(まあ、限度はあるけど)言える環境はやっぱり健康的ですね。
さて、日本と徹底的に違うのが「夏休み」です。
私の覚えている限りでは、たしか、日本の夏休みって、1ヶ月くらいだった気がするのですが、どうでしょう?
オーストリアは、州によって違いはあるものの、ウィーンなどは7月、8月、とまるまるお休みです。始業式は9月。6月も終わりになると、親御さんが小さなプレゼントを持ってきて、「素晴らしい夏を過ごしてね!それではまた9月に逢いましょう〜〜〜〜〜!!!」なんてガッツリとハグされてバイバイです。
趣味の子たちは、夏休みにレッスンなんてしません。うちの生徒たちはかなり裕福なので、大人がうらやむようなヴァカンスで外国滞在です。どこに行くの?と聞き、「今年はカリフォルニアでその後はサルディニアで、その後は、」とかの答えを聞くたびにもう、「ハァ〜〜〜」って感じです。
一方、「本気組」にとって夏は思いっきりヴァイオリンやピアノに専念できる最高の時間です。
邪魔な学校も宿題も何もない。マスタークラスをハシゴしまくって、レッスンも集中的に、時にはイタリアの小さなコンクールも受ける。
実力の差が出るのはこの、「夏休み」なのです。
個人的には私、これでいいと思います。楽器を習うスタンスは人それぞれだし、職業にするべき人は切磋琢磨し、それ以外の人はまた9月から楽しめば良いのです。
しかし最近は、こちらでも「働くママ」たちが夏の間に私のところに集中的にレッスンに来ることが、ちょっと増えてきました。
キャリア・ウーマン・ママ達はいくらなんでも2ヶ月の休暇を取ることは出来ません。子供達はじーちゃん、ばーちゃんとヴァカンスを引き続き楽しみ、親は働きながら、邪魔な子供もいないので、この際、自分のためにピアノを習おう!というわけです。こういう夏の過ごし方も良いと思います。
いずれにせよ、欧州はかなり日本とは様子が違うのです。