日本のピアノの教室の発表会の様子や流儀(?)、その流れや子供の反応などを全くと言っていいほど私は知らないのですが、ウィーンに住む私の視点からピアノの発表会で私が気をつけていることをいくつか書いてみたいと思います。
こちらは人前でパフォーマンスをすることが大好きな子供が圧倒的に多い気がします。もちろん恥ずかしがりやの子供思いますが、私の生徒たちで言えば3%くらいです(ほぼいない…)
例えば、「うちでホームコンサートを開くよ。弾きたい?」と言うと、全員が「やった〜、弾く弾く〜!」と叫びます。(こちらでは、「発表会」というより「コンサート」と呼ばれます。私の自宅でやる場合は、普通の「ホームコンサート」
私は心の中でちょっと、「練習もしてないのに不安じゃないのかい」と苦笑するのですが、飛び上がって喜ぶ姿を見ると、こちらまで嬉しくなります。「イヤだー、弾きたくない…」、と言う子供はいません。ティーンエイジャーになるとはじめはちょっと戸惑いますが、それでも曲選びに真剣に取り組み、積極的にその日目指して頑張ります。
すごくピュアでまっすぐの心の人達。
だから尚更、本番でなにかイヤな思いをして、それがトラウマになって、人前で演奏することがイヤになっちゃった、なんて事がないように、実は私はかなりの気を使います。
いっちばん大切なことは、選曲に無理をしないこと。
絶対に長く弾いて、大抵のことでは間違えないものを選びます。
それでも相手が「どうしても弾きたい」と切望する場合、あきらめてもう一曲、絶対に失敗しない曲も弾かせます。これは大切。
無邪気な勢いで、上手くいっちゃう場合って実際、子供の場合はあったりします。しかし、緊張やなんやらが重なると、保証はできません。防げる失敗は事前に防ぐ、です。
そしてあたりまえですが、レッスン毎にコンサートごっこをして締めくくります。舞台に上がって、お辞儀をして、演奏してお辞儀をして袖に引っ込む。これを絶対にかなり真剣にやらせることと、その際、もっと緊張をMAXにしてもらうために、ビデオを携帯で撮ったり、うちに誰かがいたら、そこにお客として座って聞いてもらいます。
レッスン中でも、パン、と手を叩いて、「はい、今本番はじまった!あなたは今、舞台の上!そのフレーズ、真剣にノーミスで弾いて!!!」なんてやると、結構よかったりします。おちゃらける少年たちには「ビシッ」となる良いきっかけにもなります。
たかが趣味でも、真剣にやるときはやる。そして人前でパフォーマンスをするための努力をして(それなりに、ですが)一生懸命に弾いて、温かい拍手をもらう。嬉しい気持ちになって帰宅して「楽しかったなあ〜」と思ってもらう。このために一生懸命に気を使う私です。
その他、舞台で身につけるものとか、色々気をつけることはあるのですが、それはまた次の機会に書きます。